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2006年06月02日

Surprise その2

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


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ポールのアルバムとしてはいい意味で異色の作品となっている本作。英語と言う言葉のつむぎ出すメロディとイーノを迎えた新しいサウンドが、このアルバムのひとつの特徴であることは前回述べましたが、歌詞の面で見るとどうなっているのでしょうか。Hearts and Bones以来の、自伝的な作品のようにも見えます。ほとんどの歌詞が本人のメッセージを明確に伝えているし、『すべてはラブソング(Everything About It Is a Love Song)』や『Sure Don't Feel Like a Love』、『That's Me』『Father and Daughter』あたりはポール自身の出来事や気持ちをそのまま歌っている感じがします。しかし一方で、2000年以降の様々な憂慮すべき世界情勢が、『How Can You Live in the Northeast?』『戦時下の祈り』のような曲を生み出しています。その辺の背景をABCニュースのインターネットエディションでポール自身が語っているので、それを全部翻訳してみたいと思います。

■ABC NEWS Nightline Internert Edition-----------------------------

[Outrageous リハーサル]

レジェンドたちにも、リハーサルは必要です。今度のは、新作。でもあのシンガーソングライター、間違えようのない声。64歳にして、ポール・サイモンはいまだ変わりません。

ポールは新しいCDを発表しました。6年ぶりの新作になります。彼によれば、『明日に架ける橋』を一日で書き上げたり、『僕とフリオと校庭で』『ミセス・ロビンソン』そしてもちろん『Graceland』のような、代表曲を書き上げたときに比べれば、智の女神ミューズが訪れる頻度は少なくなったとのことです。それでも、神ミューズは、まだ訪れてくると言うのです。

PS:その前に仕上げた作品たちと、今回の作品との間に、9.11が起きて、僕も60歳になって、そういったことでちょっと立ち止まって、いったい何を言えばいいのだろうって考えることになったんだ。もしなにかあるとすればね。自分にとっての新しい作品を作る正当な理由はなんだろうって。

ABC:理由が必要なんですか?

PS:必要だよ。そのことからまず話すと、その理由というのは「もっとお金がほしい」「もっと名声がほしい」ということでは、有り得ないんだ。

実際、50年近いキャリアの中で12のグラミー賞と17のプラチナレコードを獲得し、彼にとってこれ以上のお金や名声は必要ではないのです。

PS:こうした功績の数々をに自分が関わってこれたってことは恵まれてることだって、感謝しているよ。

[Slip Slidin' Away 弾き語り]

ABC:人はあなたのことを世代の代表だといいますよね。

PS:うーん、それは心外だね。あんまりそうは言われたくないかな。

ABC:ただ自分の楽しみのために音楽を書くんですか?

PS:楽しみのために・・・いや、楽しむために書くことはないね。第一、ほとんどの場合、全然楽しくないんだよ。不快でさえある。やってるときには楽しいことがすごいことだとは考えられないね。で、いわゆるエクスタシーを感じてるときじゃなければ[訳注:ecstacyには麻薬中毒の意味もある]・・・、地獄にいるか、もうやめちゃおうかっていうところでさまよってるんだ。

新しいCDでは、ポール・サイモンは文化的なものから、実際の戦闘にいたるまで、「戦争」という主題に詩的な意見をもって取り組んでいます。ポールはタイム・マガジンの「The People Who Shape Our World(世界をつくる100人)」のパーティで忘れがたい『How Can You Live in the North East?』を演奏しました。もちろん彼自身も選ばれてのことです。

[How Can You Live in the North East?]
どうして北東部に住んでいるんだ?
どうして南部に住んでいるんだ?


ABC:この曲ではなにを言っているのですか?

PS:だれもが自分自身であること、どこで生きていくかってことに正当性があるってこと。その正当性を認めることが、人類の心の問題だってことだよ。だから北東部に住みたくないなら、それでいいじゃないか。って。

いったいなんだって貴方はキリスト教徒なんだ?
どうして貴方はユダヤ教徒になったんだ?
どうしてイスラム教徒、仏教徒、ヒンドゥー教徒なんだ?

PS:思うに、メディアや、あえて対立をあおる人たちによって人間社会像が二極化・対立化されて描かれるのは、そうした人たちが利益や権力を得ることになるからだと思う。彼らは実際のところなにが起こっているのかをきちんと理解してない。僕らの社会は、知的、規律的、そして精神的なこの国の豊かさに貢献していないとされる人々を抱えておく余裕がない。彼らが社会から排除されてるとしてもね。

ポールはイラク戦争について書かれたという『戦時下の祈り』を演奏してくれました。

[戦時下の祈り Wartime Prayers 弾き語り]
神の声に飢えた人々は
狂気の声や嘘に耳を傾ける
戦時下の祈り
戦時下の祈り
何語にもなり、分散してしまった家族に届く


ABC:あなたは信心深いですか?

PS:いいえ。

ABC:あなたは神を信じていますか?

PS:はい。信じてますよ。

ABC:その違いはなんですか?

PS:僕は何をしなくちゃいけないかってことについて、あんまり指図をされたくはないんだ。問いかけに対して答えを探したりとかね。決まった服装をしなくちゃいけないのもいやだし、ある建物に行けと言われたり、同じ方向を向いて同じ本を読まされたりするのがいやなんだ。僕がそうしたいって思ったとき以外はね。自分は宇宙のほんの一部分であって、何者でもない。10億分の一秒ごとをただ生きてだけだよ。たとえ僕の「創造主は存在する」という信念が間違いであったとわかったとする。そしてら「そうか、まあいいさ、間違ってたね。僕が間違ってたよ」で終わり。信心のあまり、それで誰かを殺したりなんて絶対にしない。

[僕とフリオと校庭で]

攻撃的ではないことが、ポール・サイモンがこれほど幅広くの人々に愛される理由かもしれません。今の国務長官も例外ではありません。

ライス国務長官:彼の音楽はいろんな意味でアメリカですよね!

ABC:ライス長官はあなたの大ファンです。彼女が言うには、何度もあなたの音楽を・・・

PS:僕も彼女は大好きだよ。それからなんとね、僕はジョージ・ブッシュにも会ったけど、素晴らしくチャーミングな人だと思ったよ。

ABC:それはどういうことですか?

PS:つまり、いま僕が非常に不愉快に感じている彼の熱心な傾倒施策とは違う価値観から見れば、彼だってとてもいい人になり得るってこと。僕が恐れているのは、彼が我々を終末思想的なシナリオに連れて行こうとしていることだよ。我々は世界最後の日の中にいて、キリスト教徒とイスラム教の最終戦争があるんだっていうね。聖書の中で読む信仰がすべて失われる、それが怖い。

しかし、ポールは彼の音楽からは政治を排除していると言う。その代わりに、人類共通のコードに訴えようとしているのです。

PS:こうした僕の感情を表すのに一番の方法はラブソングを書くことなんだ。攻撃的な歌を書くんじゃなくて。僕は攻撃することは反対だからね。僕は人々はとてつもなくたくさんのことを共有していると思うよ。共有してないもののほうがずっとずっと少ないんだ。

[Everything About It Is Love Song]
そうして、新しいラブソングが収められています。アルバムのタイトルになったSurpriseという言葉を使って。

すべてはラブソング
すべてはラブソング


PS:長く生きていると、驚きと無縁でいることはできないんだ。自分の歳にも驚くし、いろんなことが明らかになることにも驚きを感じるよ。びっくりさせられるんだ。驚くよ(You are Surprised)。

すべてはラブソング
すべてはラブソング



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つづく。
次回こそ大好きなOutrageousに辿り着けるかな〜








posted by yossie at 00:30 | 東京 🌁 | コメント(2) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
yossieさん、ありがとうございます。
英語圏の人が羨ましかったんですよね。インタビューの英語がわかるんですから。(あたりまえだけど)
ちゃんと自分で英語の勉強を努力すればいいのですが怠惰人間でして・・・
この番組も何を言っているのかなァと思って観ていましたので、手を叩いてよろこんでいます。

攻撃的な歌を作らないというポールの姿勢は歌からも伝わってきますが、こうしてインタビューで聞くと意図がより鮮明になりますね。

yossieさんの翻訳 本当に感謝です。ありがたや、ありがたや。
Posted by GACHA at 2006年06月03日 22:47
あーGACHAさんだ!
こんばんは。そう言って頂けると時間を割いてやった甲斐があるというもんです(ニコニコ)。ポール・サイモン、以前は話しかけづらそうな(話しかけたりできないけど笑)雰囲気があったのに、近年ほんとに穏やかな人だなあって思います。悟ってますよね。悟りですよ。
Posted by yossie at 2006年06月03日 23:29
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