Song Watermark > Simon&Garfunkel > Surprise その3

2006年06月04日

Surprise その3

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


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前回はインタビュー全訳して寄り道をしてしまいましたが、いやあ、あれを聴くとくっきりとこの作品の背景が分かりますね。今回からまた一曲ずつ見ていこうかなと思いますが、異例の長期連載になりそうですのでポール・サイモンにあまり興味のない方、すみませんちょっとご辛抱を(笑)

さて、1曲目のHow Can You Live in the Northeast?がアルバムの主題を強く打ち出す曲だと分かりましたが、この先はどうなるのでしょう。壮大なエンディングから、次の穏やかな『すべてはラヴ・ソング(Everything About It Is A Love Song)』に流れていきますが、この曲も重要な意味を持ちます。なぜならなぜこのアルバムがSurpriseと呼ばれるのか、そのわけが隠されているから。

イントロのいくつかの変な音はイーノの仕業ですね(笑)。バックで響いているパーカッションや一聴すると音をはずしてるようなエレキギター。こうした音にポールのやさしいアコースティック・ギターが包まれているというなんとも不思議な雰囲気作り。そして始まる

Locked in a struggle for the right combination
of words in a melody line

という、冒頭の一行。これ、Kathy's Song

Words that tear and strained to rhyme

を思い出します。歌の主人公がソングライターであることをうかがわせる言葉です。つまりポール自身。つぎの韻を踏んだ2行は、ちょっと不思議。

I took a walk along the riverbank of my imagination
Golden clouds were shuffling the sunshine

頭の中で川岸を散歩してます。金色の細切れのたくさんの雲に、太陽が隠れたり現れたりするさまを「太陽をshuffleしている」って言ってますね。面白い言い方。ポールはこの最初の四行で思考の旅に出てしまったようです。曲を作っていた、ということは普段の自分の世界で自分の仕事をしていたという現実的な世界の話ですが、今度は想像の世界に入り込み、さらにその世界の太陽も細切れに隠れていって、いろいろなことのフラッシュバックが始まる、そんな心象風景を語ったこの4行なわけですね。

で、こっからが主題。時代をさかのぼっていろいろやり直したり、言い訳をしたいことがあるって、ほんとに率直な告白ですね。この辺は普段のポール・サイモンそのままだし、親しみやすいメロディとリズム。ギターはずっとイントロから同じフレーズなのに、パーカッションだけで違う曲に思えるぐらい発展していきます。そして中間部の、いきなりトリップしてしまってるような部分。ここはさらに思考が深いところにはまっていってる部分です。イリュージョンの雰囲気です(笑)だから

Make a wish and close your eyes
Surprise, Surprise, Surprise
さあお願いをして目を閉じてごらん
サプライズだ、願いをかなえてあげよう


となるのでしょう。自分が想像の中で全能の神のようになってしまっています。なぜこんなぶっ飛んだ歌詞なのか?いや、実はぶっ飛んでないんですね。それはこの次の展開を読めば分かります。

I shoot a thought into the future,
and it flies like an arrow
through my life time and beyond

ここ、滝上よう子さんの訳では「時が矢のように過ぎ去っていくことを知っておくべきだった」となっているんですが、おそらくshoot a thoughtをshould've thoughtと聴き取ったためのあやまりでしょうね。というか、普通そう聴こえます(笑)。だけどブックレットに載ってる歌詞を信じれば、

思考を未来へめがけて放つと、
矢のように飛んでいった
僕の人生を突き抜けて、さらにその先へ


となります。つまり死後の世界に辿り着きます。だから、神の悟りの境地にたどりつけば、サプライズでも何でも起こせる、というのでしょう。つづけて、「生まれ変わったらどうなるか」という想像が述べられますが、死んだあとも自分を覚えておいてほしいという切実な、痛切なメッセージがあります。そしてもう一度、すべての思考の旅の始まりだった、金色の雲が登場します。

Far above the golden clouds
the darkness vibrates
あの金色の雲のずっと上で
暗闇がうごめいている


そして1小節付け加えて、

The Earth is Blue
地球は青い

とひとこと。金色の雲で始まった思考の旅は、再び思考の旅で幕を閉じますが、それが終わったときには地球を見下ろした宇宙からの視点に変わっているという、すごい曲です。更にすごいのは、再びまたその外のソングライターの視点にエンディングでもどります。

Everything about it is a love song
Everything about
Everything about it is a love song
Everything about

何がいいたいかと言うと、この曲はラブソングなんだ。長く生きてきて、貴方のことをずっと忘れずにいて、やり直したいこともたくさんあって、この命がたとえ尽きてもずっと忘れないし、忘れないでほしいし、ずっと見守っているよ。そういう宣言。

何気ない歌に聴こえるんだけど、これだけのスケールがある。こりゃ天才ですね。いまさらだけど。

ああ、結局今回も一曲しかできなかった〜。もうちょっと次回からはスピード上げてかないとね(笑)

つづく





















posted by yossie at 00:22 | 東京 ☁ | コメント(0) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
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