Song Watermark > Simon&Garfunkel > Surprise その4

2006年06月05日

Surprise その4

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


今日から腹筋運動を始めてみました。今日は30回x2の計60回だけです。まだまだだなあ。って、なんだか分かる人にはわかりますよね(笑)。Outrageousですよ。すべてはラブソング…なんて穏やかなエンディングで前の曲が終わったと思ったらいきなりイントロなしで"It's Outrageous!"というポールが叫ぶ。このインパクトはすごいものがあります。大体、Outrageousなんて、ちょっと強い怒りの言葉のタイトルのついた歌がトラックリストに入っていたこと自体インパクトがあってすごく驚きだったんですが、このサウンドもすごく驚きですね。

アルバムの中ではストレートなほうですが、結構ひねった歌詞。グルーブ感がたまらないポール・サイモン流ヒップホップ・ファンクかな?音はシンプルなように見えてかなり作りこんでるというか、緻密に様々な音が重ねあわされてひとつのうねりを作り出している感じがするので、ライブは難しそう。ここでのドラムはスティーヴ・ガッドが連れてきた(らしい)ロビン・ディマジオ。この人も大ベテランですね。

さて、Outrageousを見ていましょう。


それにしても、繰り返しになりますが、この曲のタイトルを見たときはびっくりしました。Outrageousという単語は結構強い言葉で、『怒り狂った、非道な、言語道断な、とんでもなくひどい』という、怒りを伴った語感をもちます。これまでポール・サイモンはそんな怒りを直接ぶつけるような曲はほとんど書いてません。あっても水曜の朝、午前3時に入っていたHe Was My Brotherぐらいじゃないかな?あんまり思い当たりません。それにしたってタイトルにぶつけるようなこともなかった。こりゃあ相当なんか腹に据えかねてるのかなと、聴き始めました。と、いきなりこんな言葉がどんどん叩きつけられていきます。

It's outrageous to line your pockets off the misery of the poor
Outrageous, the crimes some human beings must endure

"line"は他動詞で『〜を満たす』という意味があります。「ポケットを満たす」ということは「お金を得る」ということですね。"off"は「〜から離れる」という意味の副詞的な前置詞。そして2行目、someは全体の一部を指すときに使う言葉ですから、ここの意味はこうなります↓

なんてひどいことだ、貧困な人々を放っておいて金を溜め込むなんて
なんてほどいことだ、一部の人々が耐えざるを得ない犯罪があるなんて


相当お怒りですね。ここで言ってる「犯罪」っていうのは、一般的な犯罪を言ってるのではなくて、「ある(限られた)弱い立場の人々だけが、犯されても耐えなくてはいけない罪」を言ってます。差別のことでしょう。冒頭の2行はこの差別・不公平はいったいどうなってるんだ!という叫びです。

I'm tired
Nine hundred sit-ups a day
I'm painting my hair the color of mud

さあこっからわけのわからない言葉が並ぶので難しいのですが、いちばん普通に考えて推測するとこういうことになります。この人は疲れている。なぜ?一日に900回も腹筋運動をしているから?いや、そうじゃないでしょう。だったら回数減らせばいいだけの話です。今日60回やってみて思ったんですが(笑)、900っていうのは相当な数です。試しに一日900回以上腹筋をやってる人をネットで探してみると、とくにアメリカではボディ・ビルダーの確立高かったです(笑)。まあ中には鳥越俊太郎さんが300回というのがありました。

それはともかく、つまり900回もやってる人は肉体的には強靭だということです。そして一方では泥の色に髪を染めている。自分はやわな人間でもないし、外見も個性的に保っている。そんな彼でもこの世の中には疲れてしまったのです。だからオレみたいな繊細でもない人間が、こんなことを言わなきゃいけないのはおかしいじゃないか?という一文があって、その叫びさえも誰も聞いてくれない(Anybody hear what I say? NO!)と言ってます。そのあとに何故かもう一度、

I'm painting my hair the color of mud!

と繰り返しています。普通はこんなにすぐおんなじ言葉をここで使わないのですが、なんど同じことを言っても、意味のある言葉であろうが何の意味もない言葉であろうが、誰も耳を貸さないと言うことをここで証明して見せてるのだと思います。貧困は無視され、差別的は犯罪から弱者を守らない、そんな社会に嫌気が差している。

そして延々繰り返されるサビの、

Who's goina love you when your looks are gone?
Who's goina love you when your looks are gone?

です。腹筋で体を鍛えようが、髪を個性的に染めていようが、ルックスがなかったら果たしてだれか愛してくれる人がいるのか?つまり外見に関係なく愛してくれる人はいるのだろうか?この世の中で…。ポールの答えは「神様」でした。神様なら、こんな僕でも愛してくれる…

おや?ちょっとおかしいですね。この辺がこの曲のすごく深いところだと思います。

I'm an ordinary player in the key of C
And my will was broken by my pride and my vanity
僕は単調なハ長調を奏でる演奏家
僕の意思は自分のプライドとうぬぼれのために壊れてしまった


ね。いつの間にか社会を糾弾していたはずの冒頭の勢いがなくなって、いつのまにかおとなしいメロディに変わり、歌詞も内省的な自己嫌悪に変わっている。社会の矛盾を糾弾しているようで、実は最終的には自分の弱さを認めていくのです。だからエンディングで流れる、

Who's goina love you when your looks are gone?
Who's goina love you when your looks are gone?

は、言葉は全く同じなのに、そこに込められている意味は全然最初のサビのところとは違うのです。最初は『いったい外見で人を判断しない正義感溢れる人はいないのか?』と、いう調子で歌われていました。嫌悪感はあくまで外向きのベクトル。ところがここでは

虚栄を取り去ったこのなんでもない自分を誰が愛してくれるのかな?

と、いかにも気弱な男の告白。同情したくなりますよね。ほんとに。おいおい、冒頭の勢いはどうしたんだよ?大丈夫かよ?と手を差し伸べたくなるくらい(笑)。この歌も、そういう意味ではポール自身の告白であるととってもいいでしょうね。そういう曲がたくさんつまっているアルバムなんですよね、これは。

うーんやっぱり一日一曲で限界(笑)。
みなさまごめんなさいm(_ _)m






posted by yossie at 00:01 | 東京 ☁ | コメント(2) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
連載、楽しみに読んでいます。
1日1曲なんて気にしなくていいですよぉ。もっと気楽に、じっくりやってください。(ん?矛盾したお願いをしていますね ^^;;)

この歌を聴いたときに、最近本屋さんに平積みされている「人は見た目が9割」というのが頭に浮かびました。(笑)

"my will" は "God will" との対比だとも思いますので、神の思し召しの大きさに比べて自分はありふれた演奏家でしかない(ordinary plyer)という意味もこめられているのかな、と考えています。
The Boxer の "poor boy" を連想します。
そういえば、この歌も聖書の一説が出てきますね。確か、彼が飛行機の中で聖書を何気なくめくっていたら、"only workman's wages" という言葉が目に入って、それでできた詩だというようなことを何かで読んだ記憶があります。

Paulの歌詞に限らず、海外の多くのものを理解しようとするには一神教の知識が不可欠ですね。やっぱり旧約聖書は必読かしら...、と思う今日この頃です。
Posted by うらうめ at 2006年06月05日 03:11
うらうめさんこんにちは!
励ましのお言葉ありがとうございます(涙)


http://songwatermark.seesaa.net/article/18717196.html

↑のインタビューでポールが語っていたように、彼が最終的に「神を信じる」っていうのはこういうニュアンスなんでしょうね。神様がどういう存在であれ、最終的には頼らざるを得ないと言うか、救いを求めるような。

確かにThe Boxerも弱い自分の告白だったし、通じるところはありますね。「ひとは都合のいいところだけ聞いてそれ以外は耳を傾けない」なんて台詞もありましたしね。

God willはGod will love youですが、その包容力に甘えてしまってMy will(自分の意思)はどうなるのだろう、という図式も考えられますね。神様って日本人には馴染みのない概念だから、むつかしい。
Posted by yossie at 2006年06月05日 12:52
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。