Song Watermark > Simon&Garfunkel > Surprise その10

2006年06月18日

Surprise その10

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


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Once Upon A Time There Was An Oceanって、ずいぶんと不思議なタイトルだなあと。ワールドカップ日本対クロアチアの中継に目もくれずに書き始めてみる(笑)。むかしむかし、って物語を話して聞かせるときに言う「むかしむかし」ってせいぜい数百年前の話。だけど、この曲のタイトルは「むかしむかし、大きな海がありました。」って。それってすごく前のことなんじゃない?湖や川なら数百年のうちに消えたりするけど、大洋となると、何万年っていう単位ですよねぇ。少なくとも。

この歌、ぜったい飛ばして聴いてる人多いと思うんだけど(笑)まあそういわずに味わってみましょう。

そんな意外性がこのタイトルからは感じられて、何を語りだすんだろうと耳を傾けてみる。音楽的にはとっても平和で平坦だからともすると退屈な気がするんだけど、ポールの詩と歌いっぷりが流れるようなので、それがクセになります。

左側から深いエフェクトのかかったエレキギターのイントロ。そのディレイが右チャンネルに流れてるように聴こえて、実は全然違う音が鳴ってて、いきなり分厚い。そうは感じさせないけど。そして何回も繰り返される、このフレーズ。あたまにこびりつくぅ。

Once upon a time there was an ocean
But now it's a mountain range
Something unstoppable set into motion
Nothing is different, but everything's changed

海が山脈に変わるなんて、そうとうの月日がたってます。最後のところがキモで、"Nothing is different"とは「違うものは何もない」なんだけれど、"everything is changed"「全部が変わった」という。新しく来たものや、なくなったものはない。そこにあるのは全部おんなじ物なんだけど、中身は全部変わっちゃったって。

この"Something unstoppable"の歌い回しが大好き。

It's a dead end job, and you gets tired of sittin'
And it's like a nicotine habit you're always thinking about quittin'
I think about quittin' every day of the week
When I look out my window it's brown and it's bleak

お仕事に飽きちゃってます。それがいっつもやめようかと思ってるニコチンの習慣のよう。「サッカリンのようにクセになる」と歌っていたOversを思い出したりして。嫌になってけだるい感じが歌い方に出てて楽しいですね。でも残念ながらなかなか抜け出せないようです。

I want to shake every limb in the garden of Eden
And make every lover the love of my life

ああ、またエデンとか出てきてしまった(笑)。こういう宗教的な暗示が出てくると困ってしまうんだけど、ここは楽園に行ってあらゆる手を使って愛人を一生の恋人にするぞって言いたいだけのような気がします。

once upon a time I was an ocean
But now I'm a mountain range
Something unstoppable set into motion
Nothing is different, but everything's changed

今度は自分が海から山に変わったと言ってますね。オープニングのセリフをたとえとしてますから、「どうしようもない力に流されて、僕は僕でも、まったく変わってしまった。」と。海を山に変えてしまうほど、抗いがたい力に身を任せただけだと。その結果、こんな退屈で抜け出したい生活に陥ってしまってるというのに、

But I'm easy, I'm open, that's my gift
I can flow with the traffic, I can drift with the drift
僕は気ままであけっぴろげで、それが性格
人の流れに身を任せて、流れにそって漂うことも出来るよ


とまあ、結局は流されることを望んでるところもあって。いやそうなのかな。そうじゃないだろ。という自分で突っ込みを入れるのがこのあたりの文章で、家にかえろうか帰るまいかずーっと決められないでいる。ホントは帰りたいくせに、と思うんだけど、意地を張っている。ところがそこに弱々しい筆の手紙が届き、「どうしようもない力にあって(考えが)変わった」とは、なんとも言い訳がましいというか、なんというか。結局何かのきっかけをみんな待っているんだ、ということでしょうか。

キャラクターの危うさが「愛しのローレン」に似てるなぁ。あの歌にもいい加減な主人公が出てきて、そして最後には大切なことに気づくという構成でした。この歌では、おそらく危篤の病床にある母親(か父親)が『会いたい』という手紙をくれたからでしょう、最後は家族の絆の大切さを実感します。

The choir sang, "Once Upon A Time There Was An Ocean"
And all the old hymns and family names came fluttering down
as leaves of emotion
As nothing is different but everything is changed

と突如として荘厳なラストシーン。教会の聖歌隊が歌うと、歌にのって家族矢祖先の名前が、感情的に降り注いできます。しみじみとした終わり方です。この歌でもやはり詩を目前にして、いままで気楽に考えてきた人がどういう心境に直面するのかを描いているようです。








posted by yossie at 22:09 | 東京 🌁 | コメント(7) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
>ぜったい飛ばして聴いてる人多い
えぇっ! 結構好きなんですけど(笑)

お仕事イヤんなっちゃってるのがYouからいつの間にかIに変っているのがいいですね^^
でもって何とか抜出そうとして実行するのが引越しですけれど、お家から来た手紙を見てたちまちホームシックになるのも良い(ロレインの「僕はずっと放浪していた。いや、ほとんど両親と一緒に暮らしていたんだけどね」の一節を思い出してひとり笑ってしまいました)

しかし、宝くじが当たらないか(未来形なところが、本気度が判ってまた笑える)とか、エデンの園の美人を全部自分のものにしたいとか....
ヲトコって。。。。
いくら生まれつき暢気で楽天家だからといって、まったくもぅー!って感じですね(ばく)

サビの"once upon a time 〜" は、Paulお得意のverse毎に意味が違う、という手法ですね
壮大な物理的事実からいきなりちょ〜個人的な問題になり、最後は人類普遍の真理になる

>危篤の病床にある
次の場面が教会のシーンになっていることからもかなり深刻な手紙であったことが判りますね
ほつれた袖口と襟が繕われる、というのは彼の状況も修正された(気持ちのうえで)ことを表しているのでしょうか?

ところで、また宗教のハナシ
プロテスタントは賛美歌、カトリックは聖歌と日本では使い分けられているけれど、英語では明確な違いはないの? 順番の違いはあるけれど"hymn"はどちらにも出てきます
Posted by at 2006年06月19日 19:22
えっとお名前がないけどどなた…?(笑)

>Paulお得意のverse毎に意味が違う、という手法

これ、ほんとにそうですよね。Still Crazyのときからずっとそう。もっと前からあるのかな。

>ヲトコって。。。。
>いくら生まれつき暢気で楽天家だからといって、
>まったくもぅー!って感じですね(ばく)

う、うん、まあ正直というか。飾り気がないというか(笑)

>プロテスタントは賛美歌、カトリックは聖歌

え、そうなんですか?そんなことも知らなかった…。どなたかご存知の方いらっしゃいましたら教えてくださいまし…。anthemとかcanticleとかって違うのかな。

Posted by yossie at 2006年06月19日 23:41
あらっ、名無しでしたか。。。
うすうす気づいているとは思いますが(^^;)、最初コメントはわたくし目でござりました<(_"_)>
Posted by うらうめ at 2006年06月20日 01:19
>うすうす気づいているとは思いますが(^^;)

ですよね〜。気づいてはいました(笑)
Posted by yossie at 2006年06月20日 14:06
ポールがインタビューで、この曲に触れて、メキシコで海洋生物の化石が発見されたことから、無昔そこが海だったことが証明されたというニュースにヒントを得たと言ってましたね。

人の一生なんて短くて、この地球の歴史を見渡すなんて不可能だ。自分もチリみたいに、ちっぽけな存在だけど、そういう解釈の仕方は美しいと思うよ、と言ったようなことを言ってました。

また、みなさんの様々なコメントを楽しみにしてます。
Posted by ひろみつ at 2006年06月20日 16:59
これ、飛ばす人が多いってよく聞くけど、やっぱりそうなのかな・・・・・。なんでかな・・・?

僕は好きですけどね。ギターがいかにもポール!て感じで。6度和音が出てくると、嬉しくなるんです。
Posted by ひろみつ at 2006年06月20日 20:35
どっちかっつうとメロディアスなほうですよね、このアルバムの中では。リズムが色々変化して楽しいけど、その辺が難しいのかな。

美しい描写の中に人間くさいセリフがちりばめられていて、とってもキュートな曲ですね。
Posted by yossie at 2006年06月20日 22:41
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