Song Watermark > Simon&Garfunkel > Surprise その11

2006年06月24日

Surprise その11

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


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さあて、いよいよ終盤ですね。終わりが見えてきました。って言ってもS&Gファンの皆様ご安心ください。これやってるあいだに色々とやりたいネタが見つかってきたので、続きますよ〜。いろいろと。なかなか歌に隠されたものを推測しながら穿り返すのはやめられませんな。それが私ですよ。That's Me.

この歌、いきなり変わりますよね。雰囲気が。空間を空気が揺らぐような音がしたかと思うとロボットを思わせる機械音が鳴り響くような音。そしてさんざんいろんな歌をあの手この手で歌ってきながら「さあ退屈な話はとばそう」と大胆不敵な宣言。

実質上アルバムの最後の曲ですよね。Father and Dauthterはボーナストラック的な意味合いが大きいと思うので。そのつもりで書きます。

この冒頭の

Well I'll just skip the boring parts
Chapters one, two, three
And get to the place
where you can read my face and my biography
さあ退屈な話は飛ばしていこう
第一章、二章、三章
私の顔や生き様が読めるところから
はじめていこう


というところ、この歌が他の歌とはまるで違う意気込みで書かれていることを宣言しているようです。だって、Sure Don't Feel Like Loveで本音を語りだすためにあえて無意味な文章から歌い始めてるようなやり方とはまるで違う。それにしてもこの辺の無機質なサウンドはなんだろう。工場みたい。

でもだんだんエレキギターが入ってくることで人間味が深まっていくみたい。まず語り始めるのは

Here I am, I'm eleven months old, dangling from my daddy's knee
There I go, it's my graduation
I'm picking up a bogus degree

生まれて11ヶ月のころ。お父さんのひざからぶら下がってたと。え?と思ったらこんどはいきなりページをめくったようで、ここでは卒業式。偽の学位を取得している。それが若い頃の自分だったと。この二つで若い頃がいいあらわせてしまうんだといわんばかりですね。父親のひざにぶら下がっているとは、ひざにつかまってるしかない頼りなげな存在の自分の現われかな。で、ひとり立ちするための学校の卒業でえたものは、偽の学位だった。

それにしてもOne-Trick PonyLate in the Eveningでは「人生最初の記憶は1歳か2歳の頃、ベッドに横たわってたこと」と言っておきながらもっと昔のことを思い出したわけですね(笑)。

I was more like a land-locked sailor
Searching for the emerald sea
私は陸に閉じ込められた船乗りのようだったが
エメラルドの海を捜し求めていた


あり得ない夢を見続けていた若い頃。これ、野心的だったポールの姿勢を表しているようでもあります。このあたりでは最初の無機質なサウンドはだんだんと力強さに取って代わるようです。そこでいきなり

Oh my God
First love opens like a flower

この辺、すごくきれいです。いきなり。ギターの音色が前面にでて美しいメロディを支えます。恋。その美しさを表現するのはポールのボーカル、ギター。そしてこの場所に来てがらりとボーカルにかかるエフェクトがかわっている。それまでは生音に近い、ちょっとコンプレッサーがかかってるぐらいのボーカルだったのに、この場所に来ると深いリバーブを伴い、なんだか一行ごとにディレイのバランスが増して行く感じ。どんどん深みにはまって行く感じがとってもわかる(笑)。なにせ熊ですからね。抵抗せずにおとなしくするしかないようです。

But tricky skies, your eyes are true
The future is beauty and sorrow

二つの対になるものの対比。雲行き、つまり周りの環境はトリッキーなんだけれども、貴方の瞳は真実だ、と。このまま二人で過ごせば、きっと美しい未来があるけれども、かならず悲しみも訪れる。そうなんだよな。ほんと、そのとおりだとおもう。さらに

Still, I wish that we could run away and live the life we used to
If just for tonight and tomorrow
でも、逃げ出して昔どおりの二人の生活ができればといいのに
たとえ今晩と明日だけだとしても



ここだけとりだすとすごく青臭いんだけど、それまでの導入部があるからこの文章がすごく素敵に思える。この文章は『仮定法過去』なので、現在の「ありえないことを仮定する」ものです。だからホントは逃げ出すことなんて出来ないんだけど、出来たらいいのにと思っている。と、解釈します。I wish I canと書いてあったら『〜できるといいな』なんですけどね。日本版の対訳にあるように過去に「願っていた」わけでもないと思います。不可能なんだけど、いまでも逃げ出せたらいいと思ってる。

I am walking up the face of the mountain
Counting every step I climb
私は今山の斜面を登っている
一歩一歩を数えながら


なんか、年老いて年齢を数えているような。足元を見てばっかりだから、空にうかぶロマンチックな星座の名前を忘れて思い出そうとしているよう。

I'm in the valley of twilight
Now I'm on the continental shelf

さあもう、自分がどこにいるんだか分からなくなってきましたね。雰囲気もよくありません。twilightは『たそがれ時』という意味ですから、なにやら終息感を漂わせます。どこをいったいさまよっているのでしょう。だけど

That's me
それが私だ

こうなってはもうそうなんだろうな、と聴くしかないですね。それがあなたなんですねと(笑)。

I'm answering a question I am asking of myself

この巡回概念の文章すばらしいですね。直訳すると、「私は私自身に投げかけている疑問に答えているところ」だと。だけど実質的には、夕方の谷にいて、大陸棚をふらついている。だからそれはなんなんだ?というような回答しかできなていない。それが自分だと。それで自問自答またするわけですね。永遠に終わらない疑問を。そういう状態が、私を表している。

最後の演奏はカオスに陥ったところを開き直るかのような、荒々しい演奏になります。それが私だ!と再び深いリバーブのかかったボーカルが鳴り響いて…。終わる。






posted by yossie at 01:26 | 東京 🌁 | コメント(6) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
完結?
おつかれさまでした。

The future is beauty and sorrow
私はこの1節が好きですねー。
Posted by こうもり at 2006年06月24日 17:55
まだです〜
あとFather and Daughterまでやります。

>The future is beauty and sorrow

うん、おしゃれな言葉ですよね。
未来は美しさと悲しみである。


Posted by yossie at 2006年06月24日 21:11
最初の、機械音のような無機質的なサウンドは、ウィングスの「心のラブソング」、劇的な曲調の変化は、ビーチボーイズのGood Vibrationを連想させるような気がするんですが、どうでしょう?

歌詞を読んでいて、死ぬ瞬間、人間はこれまでの人生を走馬灯のように見ると言いますね。僕はそれを感じました。
Posted by ひろみつ at 2006年06月25日 10:24
なるほど。Silly Love Songでもなんだか工場みたいな音がしてましたよね。

>ビーチボーイズのGood Vibration

よりは、前作の「ハリケーン・アイ」を思い起こしました。

>歌詞を読んでいて、死ぬ瞬間、人間はこれまでの人生を走馬灯のように見ると言いますね。僕はそれを感じました。

このアルバムに共通した雰囲気として、「振り返ってる」っていうのがありますね。避けてきたところを対面してるというか。
Posted by yossie at 2006年06月25日 14:08
ぢつは、この曲あまり好きではない(おっとぉ^^;;;)
でも、飛ばしてなんかいませんよ
アレンジが面白いから
Posted by うらうめ at 2006年06月26日 12:40
僕も最初好きじゃなかったです。
でも"Oh my god, first love opens like flowers"のあたりをずっと聞いてるうちになんて綺麗なんだろうと思って、それから好きになりました。こんな甘ったるいというか青臭いフレーズ、アーティでさえ歌わないだろうな(笑)なんて思ったら嬉しくって。
Posted by yossie at 2006年06月26日 22:55
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