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2006年06月25日

Surprise その12

サプライズサプライズ
ポール・サイモン


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うう。ようやくここまで辿り着きました(涙)。ようやくSurpriseの最終回です。Father and Daughterです。もちろんポール・サイモンのファンの方はご存知のことかと思いますが、この曲は、2002年のアニメ映画THE WILD THORNBERRYS MOVIEの主題歌で、アカデミー賞にもノミネートされた曲。それもそのはず、すごくメロディアスでリズミカルで、そして優しい歌詞はいかにも万人向けで、ポール・サイモンのファンにとっては喜ぶべき、久々の「ポップソング」だったのです。これの日本盤サントラのライナーノートには「バックコーラスのエイドリアンはポールの娘か」と書いてあった。おいおい息子でしょ。

それはともかく、なんだってこの曲が入ってくるんだろうってすごく不満だったな、最初は。ぜんぜん他の歌とコンセプトが違うし、絶対に合わないと思って。すごく好きな歌だから、無理やり最後に入れるなんてことをしてほしくなかった。でも、フィットするようにだいぶ音をいじってきましたね。

サントラバージョンでは音がもっとまとまりがあって聴きやすい仕上がりでした。全体的に音がセンターに定位して、ビートが聴きやすく、ポップな印象。エレキギターのリフがすごく強くて響いてるのも特徴。

それに対してSurpriseバージョンはエレキのリフが奥に引っ込んで、アコギのストロークが右チャンネルへ、エレキギターは左チャンネルへ分解されています。そして何よりもベース音が太い。これによってロック色が強い印象があります。おんなじ録音なのに(笑)。これだからプロデュースとかエンジニアリングがイカに重要かってことですね。

どっちが好きかは好みの問題だと思うのですが、僕は断然後者のほうが好きだったので(ただエレキの音はもう少しほしかった…)、Surpriseに再録してもらってよかったなと納得した次第デス。

サントラのライナーノートのクレジットを見ると、ポール・サイモンは「ハイストリング・アコースティクギター」を弾いていることになっている。で、普通のリズムギターを弾いてるのはヴィンセント・ウギーニ。ドラムはもちろんスティーヴ・ガッド。もうこの人のドラムじゃないとやだ(笑)

ちなみにサントラにはヒュー・マセケラ(ミリアム・マケバと結婚してたんだ!)のナンバーも収録されているけれど、どうやらこの映画はアフリカを舞台にしているので、ワールドミュージックにゆかりのあるアーティストが集められたみたいね。ユッスー・ンドゥールとかピーター・ガブリエルとか。

歌詞は今更解説する必要がないくらい分かりやすくて感動的で、娘を思う父親の心境を美しく描いています。

I'm gonna watch you shine
I'm gonna watch you grow
I'm gonna paint a sign so you'll always know
君が輝くのを見守っていよう
君の成長を見守っていよう
行き先が分かるように道しるべを描いてあげよう


この辺の、直接は干渉はしないけれど、ずっと見守ってあげるよ的なアプローチがすごくいいですよね。世の中に怖いものなんていないなんて言わないんですよね。嫌なこともたくさんあるだろうけど、君が自分の力で成長できるように、見守り、助けてあげる。という決意。

As long as one and one is two
1足す1が2である限り

絶対にこの決意は揺らがないという約束です。

この一曲がラストにあるとないとでは、アルバム全体の印象が大きく変わってしまいます。どちらのサプライズがSurpriseなのでしょうか?僕はね、この曲があることによって、サプライズは結局なくて、ポール・サイモンはいつもどおりの優しいポール・サイモンだったことが分かるんで、いいなって思います。

ジャケットに登場する赤ん坊の瞳。Beautifulに登場する子供たち。Wartime Prayerに登場する母子。いろいろな子供が登場してそれを通して社会を描いてきたけれども、この歌だけは違う。純粋に子供への愛を歌っている。そこが、この構成の素晴らしいところだと思う。

さ、いよいよこれで完結となりました。
長かった(笑)最後までお付き合いありがとうございました。
またなんかやりますね〜。






posted by yossie at 19:56 | 東京 🌁 | コメント(5) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
確かに、他の曲と違和感がないように、随所リミックスしてますね。ポールの弾くナイロンギターが、サントラよりも、明確になってるかな?間奏でのポールのエレキによる指弾きのリードギターも味がありますね。「ベッドの下には怖い物なんかいやしないとは、言い切れないけど」という風に、世の中にはいっぱい嫌のこともあるんだということを誤魔化さないで、ちゃんと言うあたりは、ポールらしいですね。

「僕は、過度に悲観的なことも言わないし、あり得ないような楽観的なことも言わない」というポールのコメントどうりの歌詞です。10曲で一旦完成したけどヒット性のある曲をというワーナーの要請があって、この曲を入れたのか、それとも、いつも以上に、哲学的で、難解で、シリアスすぎたなと、ホッとできる曲を入れたのかな。

僕が思ったのは、That,s Meで終わると、風呂敷を広げたままみたいな終わり方で、ちょっと行儀が悪い。そこで風呂敷の結び目のような、アルバム全体を気持ちよく締めくくるような意味合いで、この曲を持ってきたんじゃないかなと思います。

いずれにしても、この曲、僕も大好きです。

Posted by ひろみつ at 2006年06月25日 20:55
肝心なことを。労作、ご苦労様でした。素晴らしかったですよ。
Posted by ひろみつ at 2006年06月25日 20:56
完走、お疲れ様でした
そして、ありがとうございました
日本盤の訳詞が怪しいところを中心にした解説、心憎いばかりです^^

このアルバムを一番最初に聴いたとき、正直最後にこの曲が始まってホッとしました
何しろいままでの11曲で余りに頭もお腹も、もう一杯になりすぎていましたから


"As long as one and one is two" は、最後の文句にかかっていると思っていました(歌詞カードは、確かに前のフレーズとの固まりですが、メロディ的には後ろにかかるような流れじゃありませんか?)
1+1=2(世の中に絶対ということは稀だけれども、この足し算は誰にでも一目瞭然でわかる「当たり前」のこと)であるように、僕ほど娘のことを愛している父親は、世界中どこにもいやしない

ずっと見守り続けられるかどうかは、それこそ "I can't guarantee" なことだと思うんですよ、歳の順番からいっても
親が子供を「愛し続ける」ってことのほうが自然なような気がするのですが。。。
(ま、彼のことだから「どちらにも」が正解なのかな)
Posted by うらうめ at 2006年06月26日 19:53
うわっ大変。一番大事なところを書くのを忘れていた。この歌で一番大事なフレーズ。

There could never be a father who loved his daugter more than I love you

なんで抜かしたんだろう?(笑)

たぶんこのフレーズ=この曲ぐらいの感覚だったので当たり前すぎて抜かしてしまったかな(大汗)。この英語の感覚って簡単な様で結構難しい。

『私が君を愛するよりも、自分の娘を愛した父親なんて存在してこなかっただろう』

っていうのが直訳になるのかな。正直言って僕もこの感覚、ちょっと完全にはつかみかねます。でもすごくポールらしい言い回しだってことは分かります。すごく自信に溢れながらも、少し遠まわしに過去形にして決して攻撃的にならないような感覚。

>"As long as one and one is two" は、最後の文句にかかっていると思って

かも知れません。意味的にはどちらにかかってもいいかなと思いました。「当たり前のこと」であっても「決して変わらない真理」であってもいいですよね。で、興味深いのは、

>歌詞カードは、確かに前のフレーズとの固まりですが

ここですよここ!
僕もこのアルバムを通して何度「ポールはいったいこの歌詞カードをすみからすみまで校正したのだろうか?」と思ったことか。

え?ここで改行?
え?この単語歌ってるのと違うんじゃないの?

の連続でした。でも最終的には歌詞カードがポールの意図したことと合致しているとの認識に立って、解説というか、考えたことを述べてきたつもりです。でもそれでいいのかどうか怪しいところもたくさんあったっすよ、実は(笑)えへへ。

>世の中にはいっぱい嫌のこともあるんだということを誤魔化さないで、ちゃんと言うあたりは、ポールらしいですね。

ひろみつさん、決して偏った愛で盲目にはならない、力強い父親像がここにはありますよね。
Posted by yossie at 2006年06月26日 22:51
その12まで読ませて戴き、しっかり保存致しました。
ありがとうございました。
Posted by 7th Avenue at 2006年07月12日 22:34
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