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2007年01月27日

デュエット・アルバム

デュエット・アルバムデュエット・アルバム
クリフ・リチャード ブライアン・メイ ブライアン・ベネット


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以前、20代の若いイギリス人と話していたとき、「英国人アーティストで、本国では誰からも愛されていて人気があるのに、外国で全く認められていない人がいる」と言われたので、「それって、クリフ・リチャードのこと?」と聴いたら、嬉しそうに「そうだ」って彼は答えました。確かに、本国での評価に比べて日本でも相当認知度が落ちますが、この人の才能はすごいと思います。

クリフ・リチャードほどのベテランになれば買うほうも安心感があるというもの。だけど、それは時として新鮮味のないものになってしまう危険性もあります。そのへんが紙一重のアルバム。正直、すごく期待して買ったので、もっと完成度の高いものを期待しました。単なる企画アルバムの域を脱してくれるだろうと。もちろんその辺を纏め上げようという意図はサウンドの中にも感じられますが…。

何がいけないって、ごちゃ混ぜ感があるのがいけない。楽曲の一つ一つの仕上がりは素晴らしいものがあるのに、アルバムとしてのトータルのデキがもうちょっと作りこんだものにしてほしかったな。その辺を買った当日にレビューしてみます!

大英帝国のカリスマ、クリフ・リチャードのデュエット企画アルバムです。
さあオープニングはMove Itと、おなじみのナンバーから。デビュー曲ですね。この曲の重厚感あるヘビーなアレンジ、めちゃくちゃかっこいい。オリジナルの5倍ぐらいいい。ここまでカッコイイならエフェクトはシンプルに仕上げればいいのに。ちょっとリバーブが深くてエッジがぼやけてしまった。ここまでかっこよくなったのはブライアン・メイのリードギターによるところが大きいでしょう。キックオフとしては絶品のロック・ナンバー。

続いてなんとディオンヌ・ワーウィックとのデュエット。オールディーズなバラード。この曲調の変わりようがどうも…。単曲ではとってもいいできです。バカラックのナンバー。これぞデュエットという感じのデュエットソング(笑)になってます。

しっとり系で続きます。Miss You Nightsという曲はクリフ・リチャードの定番バラードで、この曲を歌うときの彼のボーカルは真似のできない哀愁が漂いますが、ここではG4という若手コーラスグループとの共演。アート・ガーファンクルが後にFate for Breakfastの中でカバーしていますが、こちらも美しいアレンジの好カバーでした。

そしてそして。なぜ?いきなり超定番ポップス。この展開がなかなかついていけない。けどいいや、そんなことはもう言いません!なんとカーペンターズYesterday Once Moreなのです。さらに驚くのは、このクリフ・リチャードとダニエル・オドネル(すみません、この日と知らない…)のバージョン、信じられないほど素晴らしいのです。こんなにいい曲だとは。再認識。甘酸っぱさと切なさを適度なビートに乗せて歌うふたり。カーペンターズのバージョンから余計なものを全部そぎ落とした上で、必要だと思うものを慎重に重ねて再構築しています。なにげない味付けのエレキギターとコーラスが、感動的でさえあります。ドラムも乾いたいい音。迷うことなく、このアルバムのベストトラック。

余韻に浸っていると…

これがいけない。フィル・エヴァリーとのShe Means Nothing to Meです。この曲からいきなりヘビーなロックに戻るのです。どっちかにしてほしい…。言っておきますが、この曲はむちゃくちゃカッコイイです。もともとはフィルのソロアルバム『Phil Everly』に収められていたふたりのデュエットによる極上ポップチューンで、フィル・エヴァリーのソロ作品としてもナンバーワンな曲です。この曲を通して僕はクリフ・リチャードの才能を再発見したんですが、なにもここに収録することはない。

1983年に発表された音源をそのまま使っているのではなく、このアルバムのためにミックスし直しているのですが、アルバムの統一感を保とうとする努力は買いますが、逆にエフェクトの中に力強さが埋もれてしまった。みなさま、この曲を聴くなら絶対Phil Everly収録バージョンのほうがいいです!

このあとの展開がまたサラ・ブライトマンとのオペラ調のナンバー、All I Ask of Youと続くので、ちょっと〜って笑ってしまう。企画盤ですから!って威張っているかのような(笑)。まあそればっかり言っててもしょうがないので(いや、いいアルバムですよ、公平に言って。)、他の聴き所をいくつか。

思わず手を合わせてしまいそうな大御所マット・モンローとのデュエットもあれば、ビージーズの長男、バリー・ギブと作り上げたFields of Goldはもちろん、スティングのカバーで、これは素晴らしい出来。前述のYesterday Once Moreの次によく出来たカバーだ。ハーモニーの美しさは言うまでもないが、ビージーズの得意とするいわゆるコンテンポラリーロックの心地よいリズムトラック。僕はスティングよりずっと美しくまとめ上げていると思います。

大げさなオリジナルの雰囲気を一新してシンプルで聴きやすい『愛と青春の旅立ち』(Up Where We Belong)はカナダ人シンガーだというアン・マレーとのデュエット。このシンプルさは心地よい。

エルトン・ジョンとのデュエット、Slow Riverはエルトン・ジョンっぽすぎてちょっといまいちかな。オリビア・ニュートン・ジョンはさすがの美しいボーカルを聞かせてくれますが、このあたりは既発曲。

たぶん、こんなに色々言いながら、このCDは何度も何度も聴くことになると思う。まだ今日買ったばっかりだからね。でもクセになって何度も聴き返すと思います。クリフ・リチャードをまだ知らない人にはすごくいい入門CDにもなると思います。聴きやすくていい曲ぞろいだからね。






posted by yossie at 19:01 | 東京 ☀ | コメント(1) | トラックバック(0) | CDレビュー
この記事へのコメント
 確かに統一感はないかもしれません。
新旧取り混ぜていますからね。
統一感、作品に賭ける意気込みだったら、「Something's Going On」(日本未発売)の方がいいと思います。歌はもちろん歌詞も、演奏もすばらしいです。
私はこのアルバムが大好きです。
お聞きになりましたか?
Posted by こおた at 2007年10月11日 23:58
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