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2005年07月10日

Hearts and Bones その2

七夕も終わって、日曜のオフィスに一人ぼっち。こういうときはブログを更新してしまえ。

そんなわけで続きです。Think Too Much(b)ですが、ものすごく機械的な伴奏ですね。人間の精神構造をできるだけ自然界の摂理や細胞の増殖運動のレベルまで単純化して、冷静に考えようという意図だと思います。感情に走り始めるとこういうものはまったく意識されない馬鹿げた存在になってしまいますが、所詮人間の考えることなんて脳内のひとつの動きに過ぎないんですね。でもそれさえも自分自身でコントロールできないなんて、どうなってるんでしょうね。ひゅーまんびーいんぐってやつは。そんなことを冷静に冷たく表現している曲じゃないかなと思います。

単調なリズムは動物としての生命の営み。イントロ付近に流れる赤ん坊の泣き声だか羊の声だかわからない音はなんでしょうね。そこにポールの人間としての叫びがごく小さな音量で紛れ込みます。そして、もはや世界一冷静で脳の働きを理解しいている人たちにしか、関係を治すことが出来なくなった一組のカップル。西海岸のロサンゼルスを舞台にしていることが、この曲もポールの自伝的要素が組み込まれていることを示していますね。

Song About the Moonは言葉の選び方が詩人ですね。このアルバムの中でも特によくできた曲だと思います。メロディも暖かくて月夜の散歩のイメージ。このころのポールのボーカル、一番好きです。ホントにキレイ。特にこの曲のAメロの歌いだしあたり、すごくいい。2番から出てくるファルセットのコーラスもポールの多重録音で美しい。

「お月様の歌を書きたいなら、クレーターを散歩してみなよ。そこでは闇が支配的で光が異色な存在。そうすれば、重力が道に落ちたナイフのようにふっと浮かび上がるから。」とにかく、向き合って見つめろ。と、こういうことですな。月について思い浮かべるとき、人はただ光るきれいなものとして捉えがちですが、そこは闇の支配する世界で、それを理解してこそ魂の歌(spiritual tune)が書けるのだと。ね、Presto!でしょ。こんなところにPresto!なんて言葉を使うのは、そういう意味があるんですよ。(きっと。)

同様に、「心」についても同じ。なにかと「心」って奇麗なものとして描きがちですが、彼の論法はこうです。「心について書きたいなら、月を思い起こしてごらん。心は月夜の犬のように吠え、6月の夜のピストルの様に発砲するものだから。」日本人のとって普通6月って言うと、じめじめとした梅雨の時期ですが、アメリカ人にとっては一年で一番すがすがしく、過ごしやすい平和な時期ですね。だけど「6月の夜の銃声」。つまり、心とはそういうものなんだと。さっきの月の話を思い起こせば同じアプローチで真理を見つめれば分かるでしょう。そんなことを言ってるんだと僕は思いました。

中間部の少年と少女の描写はなかなか感動的です。よく笑う男の子は大笑いしながら自分の場所から転げ落ちるし、女の子も笑いながら涙を流す。本当に笑っているの?笑顔の裏には、いつもなにがあるの?…誰もそこを見ていないんじゃないかしら?そして次の短いWowwow....というハミングにそんな切ない思いが隠されているような気がします。

そう、「月」はここに至って「遠くから眺めると美しいものだけど、その真実の姿を誰も想像しようとしないもの」というメタファーなわけですね。だから「すべてを洗い流してしまえ。心を、顔を、そして人間を歌にしたいなら、月について書けばいい」とは、そういうことです。(たぶん(汗))

美しく奇麗な歌のように聞こえて、ズバッと真理を問いただすような曲。じつは、すごくS&G的なんですよね。中間部は特に、アーティのボーカルが残像のように聞こえて来るような錯覚に陥りますね。

ああ。一曲でこんなに書いてしまった。すみません。また続きは後ほど。




posted by yossie at 12:52 | 東京 ☔ | コメント(2) | トラックバック(0) | Simon&Garfunkel
この記事へのコメント
Song About The Moonは僕も大好きな歌です。いいですよね〜、この歌。何と言ってもメロディがいい。アートと二人で歌ってるバージョンを聞いたことがありますが、まだ未完成とはいえ、ボツにしたのが勿体無いくらい、なかなかの出来です。

「6月の夜に発砲するピストル」という箇所は、ちょっとエロチックですね。「ダンカンの歌」の中の「懐中電灯を持って彼女のテントに忍び込んだ時」という箇所を思い出します。

このHearts&Bonesってポールのソロアルバムの中で最もS&G的な色合いが強いなと思います。
Posted by ひろみつ at 2005年07月12日 13:11
Duncanはすごい歌ですよねぇ〜
放送禁止でしょう(笑)

S&GバージョンのSoug About the Moonすてきですよね。あれを聴いてしまうとポールソロバージョンが色あせてしまうのであんまり聴かないようにしてますけど…。複雑です。
Posted by yossie at 2005年07月12日 14:06
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